弥生時代 |
∴草やムシロを敷いて寝る ∴ワラをコモ、ムシロ、 etc.に加工 |
縄文から弥生にかけての住居跡に炭化物が多くみられることからワラを敷き詰めていたと言う味方が強いらしいです。 この稲ワラを敷き詰めるという活用の仕方は、積雪地方で多く見られた地床式の住居で最近まで続いてたもので、稲作の普及が“身近にある素材”として密接な関係があったところに注目したいです。 |
奈良時代 |
∴聖武天皇のベットにワラ畳が敷かれる ∴工匠としての畳技術者が出現 |
古事記中巻(神武天皇の条)に「葦原の しけしき小屋に すがたたみ いやさや敷きて わが二人寝し とよみたまひき」と、須賀多多美(菅畳)についての記述があり、また古事記中巻(景行天皇の条)には、「海に入りまさむとする時に、菅(すが)畳を八重、皮畳を八重、きぬ畳を八重、を波の上に敷きて、その上に下り坐しき」といった記述もみられる。さらには、海幸彦(うみさち)・山幸彦(やまさち)の物語 (日本書紀巻二)には、「海神、ここに八重畳を鋪(し)きて、ひきいれまつる」などと、八重畳についての記述もみられる。 |
平安時代 |
∴寝殿造りの邸宅内に置き畳が配置される−−敷物としての畳の登場 ∴貴族は畳(身分によって畳の大きさ、縁の生地や色彩を違えていたようです)、庶民はムシロ、コモが一般的 | 稲作が急速に広がりだしてきた奈良時代から鎌倉・室町時代にかけて、コモ・ムシロ・ツカナミに関する文献上の記述が増えてきました。 |
鎌倉時代 |
∴武家屋敷の寝所に畳が敷き込まれる ∴畳から布団が分化 |
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室町時代 |
∴小さい部屋割りが行なわれ、畳の敷き詰めがほぼ定着する ∴綿布団の普及により町家農村にも畳の敷き詰めが広まる ∴慈照寺東求堂に四畳半茶室がつくられる |
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安土桃山時代 |
∴城郭の造営などにより畳屋町が形成される ∴茶道の隆盛により畳の上での所作、作法が確立される ∴安土城行幸の間に備後表を使用 ∴広島藩主福島正則が幕府に畳表を3500枚献上 |
稲作に力が入りだしてきた桃山時代から江戸時代にかけて畳が敷き詰められるようになってきたことは、“身近な素材”として畳への採り入れが盛んになってきた背景として興味深い点になります。
江戸市中の家屋に敷かれていた畳は、江戸間と呼ばれる柱を基準にした5尺8寸の畳です。畳の規格サイズが出来たのは16世紀も終わりの頃の京都においてでありました。畳の大きさを一定にし、それにあわせて柱を立てていく「畳割り」という方法が編み出されました。その畳のサイズは京間といって6尺3寸あの長さがあります。しかし火事が多い江戸ではしょっちゅう家屋を建てなければ間に合わないので、柱を基準にした「柱割り」の方が生産性が上がるので、江戸間というちょっと小振りな畳が一般的になりました。
慶応3年(1867)に世界周航の途中に立ち寄ったフランスの青年貴族 L・ド・ボーヴォワール が 「日本人の最大の贅沢は畳である。ワラを編んで作り、完全な長方形で三ブース(約8cm)の厚さ、触ると柔らかい。彼らは履き物でこれを汚すことは決してせず、家の中を歩く時は必ず素足である。」(『ジャポン』織部友次郎訳、1867年)と、畳に感激していました。 |
江戸時代 |
∴数奇屋造りの派生から、畳割りが建築の基準になり、畳の規格化が始まる ∴親方と職人という階層分化が進み、親方が原料から道具類、衣食住まで貸与する職人制度が確立、畳屋.畳刺.手間取.職人.出居衆.弟子の6階級の身分制度が成立 ∴庶民の家でも畳の敷き詰めが行なわれ畳の消費が増大 |
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明治時代 |
∴平安時代より続いた身分による畳の差別は明治維新後、新政府によって畳の使用、縁の種類等も自由になる ∴家具調度の洋風化で畳の上に椅子が持ち込まれる ∴中流以下の家では書院造り風の座敷拡大傾向が現れる ∴庶民の家に床の間付き6畳間.8畳間が一般化 ∴麻布縁に変わる綿糸縁が生産され、大正時代から一般に多用される |
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大正時代 | ∴都市への人口集中による住宅需要の増大が畳をより大衆化 | |
昭和時代 |
∴畳を縫い上げる縫着機を開発 ∴中高層マンションの時代により和室1部屋の間取りが主流 ∴畳床の素材革新による脱ワラ化時代 ・ ・ ・ |
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わたしたちは部屋の広さを考えるときに、無意識に畳の枚数で広さを考えてしまう。それは畳が平安時代にその姿を現し、現在までも畳のもつ最も素晴らしい天然素材を生かし、湿度が高く、気温変化の激しい日本の風土にあった敷物として、今日までたくさの人に愛用されているからだろうか? 畳の大きさは多くの人が知っている通り東日本と西日本とではかなり違います。東日本では約88cm×176cmで、西日本では約95.5cm×191cmである。どちらも1対2の比率になっている。だいたい大人ひとりの大きさで、日本人の体の大きさに対応しそれが日本人の部屋の広さを考えるときに無意識に考えてしまうのだろう。つまり日本のすまいの居住空間は畳が基本になっているといえる。 |